2011年12月22日木曜日

塩分摂取、少なすぎても心臓にリスク

心疾患や糖尿病の人では、塩分の摂取量が少なすぎても、摂りすぎの場合と同様のリスクのあることが報告されました。

但し、ナトリウムを1日6000~7000mg以上摂取している人は、これまでどおり減塩が非常に重要としています。


 米国医師会誌「JAMA」の11月23/30日号に掲載された今回の研究では、「1日あたりのナトリウム摂取量が6000~7000mgを超えるなど過剰な人では減塩が極めて重要であるが、現在の摂取量が適 量であれば、それ以上減らす必要はない」という。

塩分には最適な摂取量があることが次第にわかってきている様です。



長年、塩分摂取量は低いほどよいというのが専門家の間で一致した見解でしたが、近年は、減塩が本当に誰にとってもよいのかどうかについて議論されるようになっていました。

最近の研究では、減塩によって血圧は降下するが、コレステロール、中性脂肪(トリグリセリド)などの心疾患のリスクファクター(危険因子)が増大することが示されています。


また、別の研究では、健康な人ではナトリウム排泄量(塩分摂取量の目安となる)が低いと心臓関連死のリスクが増大する一方 で、ナトリウム排泄量が高くても血圧や心疾患合併症のリスクに増大はみられなかった結果が示されています。


製薬メーカーのベーリンガー・インゲルハイム社の資金提供により行われた今回の研究では、心疾患に罹患しているか、そのリスクの高い男女約3万人を対象に、尿中のナトリウムおよびカリウムの排泄量に着目 し、平均4年以上追跡しました。

その結果、ナトリウム排泄量が適度な範囲よりも高いあるいは低い場合のいずれにおいても、リスクの増大が認められた。

例えば、
「排泄量の高い人」
心疾患、心臓発作、脳卒中による死亡リスクおよび心不全による入院リスクが高くなる。

「排泄量の低い人」
心疾患死亡リスクおよび 心不全による入院リスクが高くなる。


但し、別の専門家は 「今回の研究はすでに心臓リスクの高い集団を対象としたものであり、健康な人には当てはまらない」と指摘していて、塩分を控えることはよくないとの誤った解釈をさ れることについて懸念を示しています。




参考資料
米国政府のガイドラインで推奨されるナトリウム摂取量は、2歳以上で1日2300mg未満、リスクの高い集団では 1500mg未満。米国人の平均摂取量は1日3400mgと推定されている。

日本の厚生労働省では、「日本人の食事摂取基準(2005年度版)」において、日本人の成人に進勧められている1日の塩分摂取量は、男性9g未満、女性7.5g未満となっています。
高血圧学会の定めた目標では、1日6g未満(高血圧治療ガイドライン2009年版)としています。

現在のところ、日本人の塩分摂取量は、平均で1日10.7g位と言われていますので、高血圧の人は半分くらいにしなければいけないと言われています。

腸内洗浄には健康への便益はなく有害

腸内洗浄は、便秘やお肌に良いと言われ、愛用している方も多くいらっしゃいますが、メリットは無く、有害性が指摘されています。


アメリカのジョージタウン大学医学部では、過去10年間に発表された腸内洗浄に関する研究20件を分析した結果、腸内洗浄が便益をもたらすというエビデンスは認められず、多くの研究で痙攣、鼓張、嘔吐、電解質不均衡、腎不全などの副作用が指摘されていました。

スパであれ、自宅であれ、腸内洗浄を行う事で、深刻な結果に至る可能性があるようです。



日本では、コーヒー浣腸なるものがあり、一般的なものでは簡単な器具を使い、自宅で毎日行うタイプのものがあります。

実践している方々のお話を聞くと、病みつきになる様ですが、弊害も報告されており、自己責任で行う事となります。

プロバイオテクスヨーグルトの腸への影響

”プロバイオテクス”

最近、聞く機会が多くなった言葉ですが、必要量を摂取する事で健康増進につながる細菌やウィルス、酵母など、消化可能な生きた微生物を言います。

大手飲料メーカーからのCMで、「生きたまま腸に届く乳酸菌」などと言われているのがプロバイオテクスで、一般的にはヨーグルトとして販売されています。



アメリカのワシントン大学医学部で、マウスとヒト双生児を対象に最先端技術を使ってプロバイオテクスヨーグルトの試験が行われました。

マウスは、ヒトの腸内と同じ環境となる様に飼育されたヒト化マウスを使い、ヒトは健常な双子の若い女性7組を対象に、4ヶ月間にわたりプロバイオテクスヨーグルトを摂取してもらい、摂取前後、摂取中の腸内細菌の組成や行動パターンを分析されました。


研究の結果、ヨーグルトの細菌種はマウス、ヒト共に新たな居住者として腸内に留まらなかった為、摂取前後では、マウス、ヒト共に腸内菌環境は摂取前後では、ほぼ同じという結果でした。

但し、ヒト化マウスの炭水化物の分解に関する酵素活性に顕著な変化があったようです。


ヨーグルトを食べても、腸内細菌の環境は変化しなかったが、炭水化物の分解に関する働きは変化したという内容です。



元々、ヨーグルトなどの有益菌も体の免疫からすると異物ですので、排除する対象となりますし、排泄物の乳酸菌が増えたというメーカーの研究結果も、単に摂取した微生物がそのまま出てきている為とも言われていましたが、今回は、その通りの結果が出た様です。

腸内には100兆個とも120兆個とも言われる微生物が住んでいると言われていますが、その環境を変える為には、様々な要素が必要なのだと思います。


ただ、炭水化物の分解には有益な結果が出たようですので、ヨーグルトをパンやパスタと一緒に摂取するのは理にかなっている様です。