心疾患や糖尿病の人では、塩分の摂取量が少なすぎても、摂りすぎの場合と同様のリスクのあることが報告されました。
但し、ナトリウムを1日6000~7000mg以上摂取している人は、これまでどおり減塩が非常に重要としています。
米国医師会誌「JAMA」の11月23/30日号に掲載された今回の研究では、「1日あたりのナトリウム摂取量が6000~7000mgを超えるなど過剰な人では減塩が極めて重要であるが、現在の摂取量が適 量であれば、それ以上減らす必要はない」という。
塩分には最適な摂取量があることが次第にわかってきている様です。
長年、塩分摂取量は低いほどよいというのが専門家の間で一致した見解でしたが、近年は、減塩が本当に誰にとってもよいのかどうかについて議論されるようになっていました。
最近の研究では、減塩によって血圧は降下するが、コレステロール、中性脂肪(トリグリセリド)などの心疾患のリスクファクター(危険因子)が増大することが示されています。
また、別の研究では、健康な人ではナトリウム排泄量(塩分摂取量の目安となる)が低いと心臓関連死のリスクが増大する一方 で、ナトリウム排泄量が高くても血圧や心疾患合併症のリスクに増大はみられなかった結果が示されています。
製薬メーカーのベーリンガー・インゲルハイム社の資金提供により行われた今回の研究では、心疾患に罹患しているか、そのリスクの高い男女約3万人を対象に、尿中のナトリウムおよびカリウムの排泄量に着目 し、平均4年以上追跡しました。
その結果、ナトリウム排泄量が適度な範囲よりも高いあるいは低い場合のいずれにおいても、リスクの増大が認められた。
例えば、
「排泄量の高い人」
心疾患、心臓発作、脳卒中による死亡リスクおよび心不全による入院リスクが高くなる。
「排泄量の低い人」
心疾患死亡リスクおよび 心不全による入院リスクが高くなる。
但し、別の専門家は 「今回の研究はすでに心臓リスクの高い集団を対象としたものであり、健康な人には当てはまらない」と指摘していて、塩分を控えることはよくないとの誤った解釈をさ れることについて懸念を示しています。
参考資料
米国政府のガイドラインで推奨されるナトリウム摂取量は、2歳以上で1日2300mg未満、リスクの高い集団では 1500mg未満。米国人の平均摂取量は1日3400mgと推定されている。
日本の厚生労働省では、「日本人の食事摂取基準(2005年度版)」において、日本人の成人に進勧められている1日の塩分摂取量は、男性9g未満、女性7.5g未満となっています。
高血圧学会の定めた目標では、1日6g未満(高血圧治療ガイドライン2009年版)としています。
現在のところ、日本人の塩分摂取量は、平均で1日10.7g位と言われていますので、高血圧の人は半分くらいにしなければいけないと言われています。
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